
器が「物語を語る一部」となる瞬間

器の選択は、その時々での感情を表現するものとなります。
気持ちや感情に合わせて器を選ぶことで、食事の瞬間やその器が彩る食卓を囲む時間がより深い意味を持ちます。
やがて、家族の何気ない会話や、その器のある風景で発生する騒動や、日常のちょっとしたことなどが、感情として器に宿り食卓の上で、または家庭内での物語を紡ぐ瞬間が訪れます。
明るい気分に寄り添う器選び

生活の中で喜びや輝きを感じるイベントに遭遇する際には、それを反映するような明るい器を選ぶこともおすすめです。
カラフルで軽快なデザインや形状が、ポジティブな感情を引き立てイベントを楽しくするだけでなく、その時期の食卓に楽しさと幸福感をもたらしつづけます。
明るい気分が広がる食事の瞬間は、家族や友人との絆をより深める機会となるでしょうす。
選ぶ器に、穏やかな気もちを込める
静かな時間や穏やかな気分のとき、またはそういった心の静けさを求めるような時期には、それに相応しい器を選びたいものです。
シンプルで温かみのあるデザインや自然の素材を用いた器が、静けさと安らぎを引き立て、リラックスした雰囲気を演出します。
このような時に選ぶ器は、心地よい時間を創り上げ感情と共に語りかける存在となります。
悲しみと癒し、感傷的な気分に寄り添う器選び
悲しみや感傷的な気分のときには、その気持を否定したり見ないようにするのではなく、深く共感し、癒しをもたらすような器を選ぶことが大切です。
悲しみの感情というのは、否定したり押し殺したりしても、どこかでずっと残り続けるもの。
しっかりと向き合って、浸って感じて、それから手放すという気持ちの儀式を行いましょう。

柔らかな色調や優雅な形状が、心に寄り添い悲しみをやわらげる効果を発揮します。
感傷的な瞬間における器の選び方は、心の奥深くまで響き、その瞬間を優しく包み込む役割を果たします。
「その時の感情に合わせて器を選ぶ」ことが、食事の瞬間、ひいては生活の中で見失いがちな自分自身や家族の気持ちを丁寧により豊かに大切にし、より深い意味を持ったものに変えることができるでしょう。
感情と器は、日頃意識しないものかもしれませんが、深い調和をもって結びつき、生活や意識を彩っています。

この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。
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