ご縁あってやってくるおひな様
節分が終わり、ひと段落すると1年に1度この時期に、おひな様がお目見えします。女の子が誕生すると、ひな人形を飾り、その子の成長を願う、ひな祭り。縁あってお内裏様とおひな様、三人官女や五人囃子を引き連れて、それぞれの家に来たおひな様達は、女の子が成長する長い間、毎年3月3日を一緒に過ごすことになります。
魔除けの意味をもつ「菱餅」
菱餅は繁殖力の強い「ヒシ」の実を型どる事で、子孫繁栄を願い、その形はとがっている事から、節分の柊同様、魔除けの意味もあるようです。
ひな祭りも、器と共に楽しむ
菱餅を飾るお皿は、おめでたい柄の代表で知られる青海波の模様に、春らしい花柄を散りばめた菱形のお皿に飾ります。色とりどりのひなあられは、花びらの形をした平鉢に盛ることで、テーブルの上にお花が咲いたような、華やぎになります。 ちらし寿司は見ているだけでも、笑顔になる、定番の料理です。椹(さわら)の盛桶を使って色彩豊かに盛り付けます。 蛤のお吸い物は、お雛様らしく、赤の毛せんをイメージした朱塗りのお椀で、いただきます。
可愛らしい、箸置きや小皿を置く事で、テーブルの上が一層華やぎ、ままごと遊びを、彷彿とさせます。 ひな祭りは、子供だけのお祭りだけではなく、大人も「大人の祭り」の楽しみ方をしましょう。ひな祭りの時に頂く白酒は、度数が高く、甘味が強いので、酒杯は小さめで足付きの物を用意します。お酒が苦手な方は、甘酒にするのがいいでしょう。
酒杯は同じ物で揃えなくても、お好みの器で飲むのも、盛り上がりそうです。普段、あまり飲まないお酒も、この時は少しだけチャレンジして、頬を赤らめるのも楽しいお祭りになりそうですね。
女の子のお祭りは、いくつになっても、楽しいものです。 笑顔になっている宴だと、お内裏様とお雛様や三人官女も笑顔を見せてくれるかもしれませんね。
この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。
この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。