新しい一年が始まる気配
大晩日、あと少しで1年が終わり新しい年が来る事を知らせる除夜の鐘が鳴り始めます。
空気がとても冷たく、昨日までとは違う大晩日ならではのキーンと張り詰めた外気に吐く息が白く夜空に消えていきます。
108つの鐘の余韻を残しながら、1年の重みが詰まった12月の銀色の扉を静かに閉めます。1月の金色の扉には新しい干支の絵が大きく描かれ、押し開いた 扉の向こうには、まだ暗い中ゆっくり初日が昇るのを静かに待ちます。
今年1年の無事と幸せを祈願し、お詣りを済ませると神社の境内では、熱い甘酒が振る舞われ、冷たくなった体を温めようとふうろうしながら、ご利益があると思いながらいただくこの1杯はとても美味しく「身も心も温まる」とは、まさしくこの事でしょう。
普段飲んでいる甘酒とはひと味違うように思えるから不思議なものです。さっきまで張り詰めていた空気が和らいだように感じます。
年が明けた事を肌で実感する恒例の行事のひとつです。
我が家のお正月を創る
さあ、家に戻ったら用意したおせち料理の最後の準備に取りかかります。
日本のおせち料理にはそれぞれ意味があり、例えば数の子は子だくさんの意味をもつ子孫繁栄を願い、黒豆は豆に働くようにと健康であることを意味し、栗きんとんは豊かさを表す食べ物として金運上昇を願うなど料理の意味をもち、神様を迎え、おめでたい新年のお祝いをする風習です。
日本特有である多種多用な器を用いる事で、今年は新しい「我が家のおせち」を創り出してみましょう。
個性的な手付の長角鉢はおせち料理をはじめ、煮しめやローストビーフなどの肉、お刺身とアイデアしだいで出番の多い器です。活躍の場が広くお正月に限らず上生菓子などお茶のおとものおもてなしにも実力発揮してくれます。
手始めにお正月らしさのある縁起物のはし置きを用意してみる事から始めてみましょう 。
松竹梅、羽子板、羽根や鼓(つづみ)、折り紙で折ったような紅白の鶴も素敵です。はし置きは季節事に色々ありますので、四季折々 集めて楽しまれる方もいらっしゃいます。はし置きで思わず笑顔になりますね。
年始めにいただく料理なだけに、テーブルの上に並べられた料理に思わず自然と姿勢が良くなります。
取り皿はいつもより少し大きめを用意してみましょう。少しずつ色々なお料理を盛る事ができます。こちらのお皿は落ち着きのあるマットの金色でおめでたい菊模様がお正月のグレードを上げてくれるでしょう、背筋が伸びるような器の存在はその料理を美味しく見せる事が出来る器だからです。
橘を連想させる落ち着いたグレーの長角皿は少し高台になってます。三品盛りや握り寿司の他お酒の肴を盛ることでカッコ良くテーブルの上で映えます。いつもと違う器に盛ることで、お正月という伝統を 体感でき、記憶に残るお正月の風景を創り出せる事でしょう。
重厚な蓋付の陶箱におせちを詰めることで、蓋を開けた時の瞬間を楽しみお料理と同時に陶箱にかけられた手間も食事をしながら堪能してみましょう。
小皿は遊び心いっぱいの物を用意してみます。門松や鏡餅、獅子舞など使ってみたい物を各々選んでもらうのも楽しい演出です。
日本一の富士山の小皿を手元に置くのも嬉しいひと皿です。家族やお客様との会話も弾みます。料理だけでなく、大切にしたい器でいただく喜びと目を養うことで、なかなか触れる事の出来ない経験も子供達と一緒に出来ると、食事を通して「お正月」を感じられるでしょう。
雑煮碗は木製の蓋付が定番として使用される事が多いですが、春を思わせる柄をあしらった陶器の多用碗を使います。お碗は大ぶりですがお雑煮をたっぷり 盛り過ぎない事で品良く見えます。熱々のお雑煮も陶器を使う事で冷めにくく美味しくいただけるでしょう。
多用碗は字の通り、活躍の場面が多いので助かりますね。
準備が整ったら新年のあいさつと同時に、屠蘇器に用意した邪気を払い長寿を願う意味のお屠蘇を皆でいただきます。
「家族揃ってあけましておめでとう。」
子供たちはお年玉の中身を見たい早る気持ちを抑えて、お雑煮をかき込みだす。うちのお正月の毎年定番の風景です。各ご家族にこういったふつうの風景があり、季節のイベントとしてのお正月を皆さんで迎えることでしょう。
お正月の楽しみ方も人それぞれだと思いますが、日本の素敵な慣習としてこういったお重をつかう、とか昔流行ったものが文化として根付き、使われているとか様式になっている、ということがあります。ちょっと器をひとつ、しつらえるだけでも日本のお正月をすこし素敵に華やかにすることができたり、同じ料理でもグレードを高めてより満足度を得ることができたりします。
例えば、子供の頃にこの風景を見たかどうかは、その子の未来のお正月の風景にも関わることでしょう。
子供のため・・・といえばあざといかもしれませんが、でもせっかくの日本のイベントの楽しみ方として「毎年ほんのちょっとずつでもこだわるポイントをふやす」なんて、素敵かもしれませんね。
この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。
この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。
記事に関連する器のご紹介
長角高台皿
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片面菊彫り6.5寸丸皿
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プレートスタンド ブラック
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4,400円(税込)
紅 梅型18cm皿
4,400円(税込)
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つづみ箸置 有田焼
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松竹梅 箸置3個セット 化粧箱 有田焼
2,310円(税込)
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織部 片口鉢 美濃焼
6,600円(税込)
ミニ朱丸 醤油差し 有田焼
5,390円(税込)
菊形金彩 6.5寸皿 有田焼
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