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器と時間をつむぐ、使い込むことで「馴染む」

時の証人、器が物語る使い込まれた歴史

器を使い込むことは、それ自体が時間の証人となります。
日常の中での小さな傷や変化が、器に深みと個性を与え、使い込まれていく間に過ごした様々な歴史を物語ります。
使い込まれた器はその表面の細かな模様や色あせた部分が、生活の歴史を感じさせ魅力を引き立てます。

器が手と心をつなぐ架け橋

”手に馴染む”という言葉があります。
使い込まれた器は、初めて触れたときから手だけでなくその人の生活や人生と交わり、記憶を始めます。
使い込むことでその感触は一層深まり、”手に馴染む器”になっていくのです。
いつも家族や使う人の人生の傍らで、ずっと見守り続ける身近な者(モノ)。
馴染みの顔になって、手に、空間に”馴染む”ようになります。
食事や飲み物を通じて、手と心をつなぐ架け橋となりつながりが生まれます。

美しさは深化する「使い込まれた器」が持つ独特の輝き

器を使い込むことで、その美しさが深化します。
使い込まれた器、手に馴染む器というのは、使うほどに風合いが増しなんとも言えない印象を漂わせます。

光が当たると独特の輝きが生まれるもの、傷や摩耗が物語る歴史から独自の美しさを感じられるもの。
そこには使い手との共鳴が感じ取れます。

持続可能な美を表現「使い込むこと」の環境への優しさ

器を使い込むことは、環境への優しさとも深く結びついています。

器を使い込み馴染みの器を大切に使っていく姿勢は、新しい器をたくさん購入したくさん廃棄する考え方よりも「持続可能な未来」へ向かう気持の現れでもあります。
質の高い素材と工夫されたデザインが、使い込まれることで長く寿命を伸ばし、大量消費による環境への負担を減らす一翼を担います。

環境への優しい気持ちを持つ、というのは「生活を丁寧に送ること」と同義なのかもしれませんね。

この記事を書いた人

柴山甲一
酒器の案内人

バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人

柴山典子
器人(うつわびと)

静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。

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