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「四季折々を感じる」とは。 暮らしの中で季節を見つける方法

季節を楽しめないときもある

「四季を感じる暮らしに憧れます」
そんな言葉をよく耳にしますが、真夏の盛りになると、
外に出る気力もなく、暑さに追われるばかりで、
正直“季節を楽しむ”どころではないなと思う日もあります。

でも、「感じる」というのは、大きな行事や特別な時間のことだけではないはず。
冷たいグラスに浮かぶ氷の音。
食卓に並ぶ、涼やかな鉢物や青い器。
エアコンの効いた部屋にいても、ふと目にした器の色や形に、
今このときの季節がそっと映っていることがあります。

小さな変化のなかに、夏がある

季節は、花火やお祭りのように大きなものだけでなく、
暮らしの小さな選択の中に宿っているもの。
厚手の土ものから、涼しげなガラスの器へ。
選ぶ器が変わると、手にしたときの感覚も変わり、
その小さな違いに、夏らしさがにじんでいることに気づきます。

ほんのひと手間かけて、氷水で冷やした器に冷たい麺を盛りつけるだけでも、
食卓の空気がぐっと軽やかになります。
器の手ざわり、重さ、映り込む光——
そこから感じ取る季節も、またひとつの「四季折々」の形です。

季節に目を向ける、ということ

毎日が忙しいと、季節はただ“過ぎていくもの”になってしまいがちです。
でもほんの数秒でも、目の前のものに静かに目を向けてみるだけで、
「今、ここにある季節」が見えてくるように思います。

たとえば、今日の気分に合った器を選ぶこと。
台所に並ぶ旬の野菜を、少しだけ意識して手に取ること。
そんなふうに、暮らしの中で季節に触れる場面を少しだけ増やしていくと、
夏の一日が、急にやさしく整って見えてきます。

感じようとする気持ちが、季節を連れてくる

四季を感じるというのは、
「四季を味わおう」と意気込むことではなくて、
目に映るもの、手にするものの中に、季節の気配を見つけることなのかもしれません。

暑い、しんどい、出かけたくない。
そういう気持ちの中にも、「今」を楽しむ入口は潜んでいて、
それに気づけるかどうかで、同じ一日が少し変わって見えるようになります。

次の器を手に取るとき、少しだけ「季節」を意識してみる。
そんなささやかな心の動きが、暮らしにやさしさを添えてくれます。

この記事を書いた人

柴山甲一
酒器の案内人

バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人

柴山典子
器人(うつわびと)

静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。

この記事でふれた「ゆるやかな丁寧さ」に寄り添う器たち

——使うほどに心がほどける、“日常の相棒”をご紹介します。