
理にかなってる七草の効果
新しい年を迎えてからあっという間の1週間が経ち、非日常だった生活から日常に戻りつつ、頭も身体も切り替える時です。
1月は七草粥をいただく風習があります。
なぜ、七つの野菜を入れるのでしょう。
お正月に食べ疲れた胃腸をいたわる意味があるようですが、不足しがちな青菜をたっぷり身体に取り込んで「春がそこまで来ているよ!」という準備なのかもしれません。
七草とは<セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロこれぞ七草>なんだか覚えるのも大変そう?七・五調で歌いながら覚えると子供でも簡単に覚えますよ。
日本の伝統行事のひとつですので、是非知っておいてほしいものです。
七草のそれぞれが持つ効果を知っておく事も、どこかで生かされるかもしれません。
調べてみますとセリは鉄分を多く含み食欲を増進させ、ナズナは解熱と利尿作用があり、ゴギョウは風邪の予防や解熱に作用し、ハコベラはビタミンAを多く含み腹痛に効果あり。
ホトケノザは食物繊維を多く含み、スズナはビタミン類を多く含むかぶの事。
スズシロは大根の事で、消化を助け風邪の予防になります。
季節柄、胃腸が弱まり風邪をひきやすい時期だけに、これらの青菜を消化の良いお粥に一緒に取り入れる事で、無病息災や長寿健康を願って作られた風習の先人の知恵はスゴイです
七草粥を作る
研いだお米を前もって水に1時間ほど浸しておくと、炊き上がり時間を短縮できます。
浸した後にざるに上げラップをして、冷蔵庫で保存しておけば作りたい時間を選べます。
20分~30分程で炊き上がります。
土鍋にお米を入れしゃもじで時々混ぜながら炊き上げます。
七草は食べやすいように少し細かく切って用意します。
柔らかくみずみずしい物が多いので、火を通すのは出来上がり直前に入れますが、スズシロ(大根)、スズナ(かぶ)は他の青菜より少し早目にお粥と炊く事で美味しく食感も楽しめます。
お正月の残りのお餅もあれば、小さく細の目に切り一緒に入れれば食べやすくなり、お正月も終わりなんだなぁと感じる事でしょう。
最後に塩で味つけをし、七草が散りばめられた春の装いのように優しいお粥の出来上がりです。
食べて身体の中から「整う」という事
あわただしい朝とは違い、おだやかな気持ちでゆっくりしゃもじでかき混ぜ土鍋からの香りを楽しみつつ、炊き上がったお粥を赤い唐草模様のお茶碗に盛ることで一層食欲が増します。
お粥をいただくスプーンには、薄手で口の中に入れやすい大きさの有田焼のレンゲがとても食べやすくおすすめです。
大好きな卵焼きをおめでたいひさご型の織部の小皿に盛ればきれいな黄色が映えます。
脇役には片口のかわいいミニ小付に梅干しを添えます。
時間をかけて炊き上がった七草粥をじっくり味いながら、七つの野菜とお米に感謝しながらゆっくりいただきます。
不思議と浄化されたようで、心と身体が整い優しい気持ちになります。
今日1日仕事へ、学校へと行くことが充実した日になる予感がします。
「きっと良い日になる!」というすがすがしい気持ちで出掛けらることでしょう。
1月7日のこの日だけでなく、体の調子の悪い時やリセットしたい時に体に合った青菜でお粥をいただいて、体を「整える」事を習慣にするのもいいものです 。
風物詩で縁を作るのも良し
私の住む町の名に「七」がつきます。
「七」にちなんで町内のイベントのひとつに七草粥の振舞いがあります。
この七草粥を求め毎年来られる方、七草粥を食べた事のない方、赤ちゃん連れのご家族も正月の風物詩で仲間入りです。
七草粥で老若男女が一堂に会する光景もこの町ならではの風物詩です。
七草が皆を優しい顔にしてくれます。
日本の風習の七草粥で人と人を繋いでいます。

この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。