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お月見団子をのせる器――特別な夜にだけ出番のある楽しみ

三方がつくる、お月見の雰囲気

十五夜といえば、お団子。
月にお団子をお供えするときに用いられる伝統的な器が「三方(さんぼう)」です。
木で作られた台に穴が開いた形が特徴で、古くから神事やお供えに使われてきました。
お月見の夜やお正月にしか登場しないこの器に団子を並べると、
それだけで食卓や縁側の空気が凛として、「今日は特別」と感じられます。

特別な器を持つ意味

「ほとんど出番がないし、場所をとるから……」
そう考えて、家に三方がない、購入する予定もない、という方も多いですよね。
けれど、そういう器がひとつあるだけで、日常と切り分けられた時間が生まれます。
お月見団子をのせた三方は、ただのお菓子を“お供えもの”へと変えてくれる舞台。
季節や行事の節目を、器がそっと形にしてくれるのです。

毎日の器と、行事の器

ふだん使う茶碗や皿は、暮らしに安心感を与える存在です。
一方で、三方のように特定の日にしか出番のない器は、
「年に一度の楽しみ」を運んでくれる存在。
日常と非日常を分ける役割を持つ器があることで、
行事のたびに「今年もこの季節が来たな」と思える瞬間が生まれます。

季節を映す器の力

月を眺めながら、三方に並んだ団子を楽しむ。
その光景は、ただの食事ではなく、季節を感じるひとつの儀式です。
器は料理をのせる道具であると同時に、季節や行事を映し出す舞台でもあります。
三方のように「この日だけ」の器を暮らしに迎えることは、
一年のめぐりを感じるささやかな楽しみを育ててくれるでしょう。

この記事を書いた人

柴山甲一
酒器の案内人

バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人

柴山典子
器人(うつわびと)

静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。

この記事でふれた「ゆるやかな丁寧さ」に寄り添う器たち

——使うほどに心がほどける、“日常の相棒”をご紹介します。

織部陶三方

織部陶三方

16,720円(税込)

グレー波彫り27cm正角皿

グレー波彫り27cm正角皿

8,162円(税込)

杉酒器セット

杉酒器セット

11,110円(税込)