お盆に集う、にぎやかな時間
お盆の時期になると、家族や親戚、友人がふとしたきっかけで顔を合わせる機会が増えてきます。
「せっかくだから、みんなで食事でも」と自然に囲まれる食卓には、
いつもより多めの器、大きめの皿、使い慣れていない取り分け用の鉢などが登場して、
どこか懐かしく、あたたかい空気が流れていきます。
それは料理だけではなく、器の並び方や手ざわりが、場の雰囲気をやわらかく整えてくれるからかもしれません。

器がつなぐ、食卓のやりとり

「それ取ってくれる?」「このお皿、前にも使ってたよね」
食卓を囲むなかで、そんなやりとりが生まれる瞬間があります。
料理の味をきっかけにした会話もあれば、器そのものが会話の種になることも。
誰かが何気なく選んだ器が、思いがけず昔話の糸口になったり、笑い声のきっかけになったりする。
器はただ“料理を盛る道具”ではなく、そこにいる人たちの距離をそっと近づけてくれる、小さな橋のような存在です。
大皿料理は、盛りつける楽しみも一緒に
唐揚げや煮物、冷しゃぶやちらし寿司。
大皿に盛りつけると、それだけで食卓に華やかさが加わります。
ふだんは出番の少ない、ちょっと大きめの鉢や深皿も、この時期には思いきって使いたくなります。
色や高さ、質感が違う器を組み合わせてみると、それぞれの料理がよりおいしそうに見えてくるから不思議です。
食べるだけでなく、“どう盛りつけようか”と考えるところから、もう食卓は始まっているのかもしれません。

器と一緒に、思い出も重ねていく

「この器、去年も使ったよね」「おばあちゃんが選んだお皿だよ」
何気ない一言に、食卓の記憶がふっとよみがえることがあります。
特別なものでなくても、毎年この時期にだけ登場する器には、
その家族だけの小さな物語が少しずつ重なっていくようです。
料理と同じように、器にも“記憶を盛る”役割があるのだとしたら、
お盆の食卓は、今年もまた大切なひとときになるに違いありません。
この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。
この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。
この記事でふれた「ゆるやかな丁寧さ」に寄り添う器たち
——使うほどに心がほどける、“日常の相棒”をご紹介します。
クラシック26cm楕円皿
2,970円(税込)