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夏でしか体験できないモノもある

普段とは違う、自然の中での食べ物の冷やし方

ゆるやかな川の流れの中で、大きめの石を見つけて「囲いを作っていくよー、がんじょうな囲いにしてね」今から、この囲いの水の中で、水浴びが始まるんだよ。
スイカのすいちゃんとキュウリのゆうりちゃんと、おとうふのもめんちゃん。
ゆうりちゃんと、もめんちゃんは、竹かごの中に入って水浴びです。

ゆうり:「すいちゃん、流されないように守ってね」
すい:「うん、だいじょうぶだよ。流れが強くないからね、安心していいよ」
もめん:「みんな、暑い空の下で遊んでいるんだね」
すい:「たっぷり遊んだあと、ぼくたちを迎えに来るよ。それまで、ゆっくりと水浴びしていようね」

ゆうり:「川の水は、冷たくて、気持ちいいね。遊んでいるみんなは、すいちゃんのどこがすきなの?」
すい:「みんなは、かわいたのどに、甘くてジュースみたいにおいしいって。熱くなった体も、涼しくなったように感じるんだって」
すい:「ゆうりちゃんは?」
ゆうり:「私も、すいちゃんと似ているみたいで、甘くはないけれど、好きだって言ってくれるよ」
「私の相棒に、ビタミンちゃんと、カリウムちゃんが、いつも一緒にいるから、気に入ってもらえているんだと思う」

すい:「もめんちゃんは、色白できれいな肌だね」
もめん:「1年中、白いの、見た目によらず、けっこう人気者なのよ。私は暑い日は冷たくして、寒い日はあったかくしてもらうと、みんなによろこんでもらえるの」
ゆうり:「今日はとても暑いから、水浴びをたくさんしておくと、みんなよろこんでくれるね。夏のおやさいのお友だちは、とても多くて、それぞれ人気者なのよ」
もめん:「すごい、すごい!暑い太陽の下で育っているから、夏の過ごし方を知っているんだね。だから、みんなを元気にできるんだ!」

すい:「たくさんのお友だちと、仲よくなって欲しいなー。さあ、そろそろ、水浴びの時間もおわりだね」
ゆうり:「みんな、遊びおわったみたいだね、みんなが、笑いながらこっちに走ってくるよ」
すい、ゆうり、もめん:「お~い、こっちだよう。

記憶に残るモノを作るのは、楽しんでやることが大事

「今日は大変だったけど、その分楽しかった!」と思えることは記憶に残ります。
子供たちが暑い空の下で思いっきり遊んでいる時、大人は同じ空の下、普段あまりしない事を、なれない手つきでチャレンジします。

長い竹を割ったらその竹を高さをつけながら長くつなぎ合わせていきます。
「つなぎ目のところ、上手くつながってる?」「土台の足は安定している?」「くずれちゃったら、どうしようもないよ」と掛け合いながら、見た目は上手くできた?!おのおのが自画自賛。
「大丈夫でしょう」と少し不安げ「試しに水を流してみようよ」「水がちゃんと流れれば大丈夫だよ」自分に言い聞かせます。

そう、何を作っていたかというと「流しそうめんをするための流し台」である。
大量のそうめんは茹で上がって、風情たっぷりの竹製のおちょこに、だしつゆを入れ、箸を持ち準備はOK!子供たちもつなぎ合わせたこの台の上から、そうめんが流れてくるなんて想像もつきません。
思わず箸を持つ手にもチカラが入ります。

「そうめん流すようー」試運転どおりまず水が流れ出します。
みんなが待ち構えているかと思うと、ついついたくさんのそうめんを流そうと、これまた多すぎて途中で止まってしまったり、「流れてこな~い」と気合を入れていた子供たちは拍子抜けです。

そうめんを流す方も、コツをつかみだすと上手く流せるようになります。
「取れないよう~」「2本しか取れなかった」「上の方で、いっぱい取らないで~」子供を喜ばすつもりが、大人が楽しんではダメでしょ。

太陽の下で、そうめんもキラキラしているけど、みんなの顔もキラキラ楽しそう。
「美味しかったね」「楽しかったね」「また、やりたいね」この子たちが大人になった時、この記憶がまた繋がっていくとうれしいなあ。
不思議と上手くいかなかった時ほど記憶に残っているものです。

夏休みの日記&オンリーワン

夏休みの体験のひとつに、「そうめん流しと川の水で冷やした野菜たち」は記憶に残った事でしょう。
疲れて帰ってきた今日は、興奮状態のまま1日が終わります。
子供も大人も楽しさが残るぐったり感ですね。

明日、今日の出来事を思い出しながら日記に書いて、そうめんを食べた時に使ったあの竹製の出し入れのおちょこに、名前と記念日を書き込んでマイカップにします。
これから家で使うたびに、あの時の事がおもいだされますね夏でしか体験できないものもあります。

放置竹林と向き合う

日本の風景の中でまっすぐ高く上に伸びている竹林が、一面緑色に染まっている様子は圧巻で、SNSにも挙がっています。

日本人だけでなく海外の方もステキだと思っていただけるこの風景ですが、一方で放置竹林も手がつけられないほどの状態になってしまってるのも事実です。
大きくなりすぎてしまった竹林は、加工には適さないとなると立派な竹も「ステキ」では済まされなくなって来ているんですね。

そこで今、竹を高温で焼き上げて炭にしたものを、パウダー状にすることで、雑菌の繁殖を防ぐ力を活かして、食器にしたり、石鹸やタオルにすることで、自然の恵みが形を変えて生活の一部になるのも、日本ならではの「ステキ」の力を大勢の方に知って欲しいです。

この記事を書いた人

柴山甲一
酒器の案内人

バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人

柴山典子
器人(うつわびと)

静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。

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