5月のうす紫色の5枚目の扉に、重厚感ある兜が大きく描かれ、扉を開ければ戦国時代へとタイムスリップしてしまうのでは、と期待さえしてしまう雰囲気が、気持ちを高ぶらせます。
ひと目でわかる鯉のぼり
澄みきった春の大空に、力強く鯉のぼりが泳ぐ風景が、端午の節句を知らせます。 近頃は住宅事情により、あまり目にする事も少なくなりましたが、風を受けて泳いでる姿は爽快で、一緒にパワーまでもらっているような気分になります。
男の子が生まれた事を知らせ家族の想いや願いがひと目でわかる「のぼり」。
武家社会から今に受け継がれているのも、大切な日本の風習のひとつです。
鯉は出世魚の伝説に思いを込めて
中国の黄河の上流に「竜門」と呼ばれる流れの速い場所がある そうで、登りきった鯉が龍に変わったという言い伝えから、成功に繋がる難関を「登竜門」と呼ぶようになったようです。
打ち勝ってほしいという願いを、鯉に込めたのでしょうね。
学生の頃は受験に例えられますが、思いを強く持ってやり切る!ことは、たやすい事ではありません。
人生の中で何回も投げ出してしまいたい事もあるとおもいますが、自分なりのペースで根気よく続けられたら、スピードは違えどもきっと自ずと結果はついて来るでしょう。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがあります。
きっかけは何であれ、好きなものに出会える事が、長続きする近道かもしれませんね。
世界に誇る日本の武具
梅雨に入る前に、武具に風を通し手入れする習慣から始まったと言われる鎧や兜飾り。
歴史好きは、武将に重ね鎧や兜を選ぶでしょう。
男の子なら飾ってある兜をかぶってみたいと思うもので、飾り刀を腰にさし武士に成りきったものです。
不思議なもので、天下を取ったような気分になれるのは昔も今も変わらないのかもしれませんね。
自分が強くなったような気分になれたり、モチベーションが高くなるのであれば、一年に一回ではなく通年に渡り手元に飾って置きたいかもしれませんね。
海外の方も「samurai」になって何か感じてみたい、という願望があるのかもしれませんね。
誰かに憧れる気持ちを持つ事も、持ち続ける 事も、素敵なことです。大切に、育てていきたいです。
お祝の膳の意味を知って、召しあがれ
お祝の膳は、意味ある食材を使って「なぜ、このお料理を皆でいただくのか?」を知ると、会話も弾んでより一層美味しくいただく事が出来て、想いも伝わるかもしれませんね。
旬の筍はまっすぐ育つことから、 おめでたいちらし寿司に 混ぜ 、勝男(かつお)の刺身と一緒に錦糸卵で色どり良く盛り付けます。
古典柄の大皿に盛りつける事で、鎧や兜に合った「和」を実感し、味わう事ができるでしょう。
邪気を払うとされる「ちまき」や、子孫繁栄を願う「柏餅」は、季節を先取りした淡い緑に笹の模様が描かれたお皿に盛ることで、 青々とした葉が映え、勢いよく子供の成長を祝ってくれそうです。
柏餅の柏の葉は新芽が出ないと古い葉が落ちないことから 、家系が途絶えない意味もあるそうですよ。 是非、家族揃って新茶と一緒にほうばりたいですね。
人生うなぎ昇り、という言葉もあるように「鰻」をいただくのもいいでしょう。
子供よりお父さんの方が、沢山食べたいかもしれませんね。大成する事を願いながら、パワーをもらい生き抜く力もつけたいものです。
節句の終わりに、健康祈願の意味を持つ菖蒲湯に親子でゆっくり入りながら、大きくなったら何になりたいか話す事もいいですね。
普段なかなか話せないだけに、節句をきっかけに 家族の絆を深める年中行事に してみてはどうでしょう。
きっと、大人になった時、親になった時に、同じように繰り返されたなら、自然と「引き継がれてる」ということなんでしょうね。
この記事を書いた人
柴山甲一
酒器の案内人
バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。
この記事を書いた人
柴山典子
器人(うつわびと)
静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。
記事に関連する器のご紹介
笹絵7寸平鉢
4,730円(税込)
織部正角皿
5,500円(税込)