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子供の成長を見守り願うひな祭り

3月の黄色の3枚目の扉には、大きな壺を思わせる花瓶に、ピンクの色が濃い桃の花が無数に描かれ、扉を開けると桃の香りが広がっています。

「はじめまして」お雛様とのご縁

節分が終わりひと段落すると、1年に1度この時期におひな様がお目見えします。

女の子が誕生するとひな人形を飾り、その子の成長を願うひな祭り。
縁あってお内裏様とおひな様三人官女や五人囃子を引き連れて、それぞれの家に来たおひな様達は女の子が成長する長い間、毎年3月3日を一緒に過ごすことになります。

数あるひな人形の中から選ばれてこの家に来たことも、何かのご縁があったからのことでしょう。

日本に生まれて、絢爛豪華で気品のあるおひな様に囲まれ、毎年この日本の文化に触れる事が出来るのはすばらしい事ですね。
派手過ぎず、趣をもった着物に身を包んださまを見上げると、子供ながら決して触れてはいけないお人形であって、触れると壊われてしまうのではないかという思いにかられたものです。
それだけに子供ながら、とても繊細なお人形という認識であって、おひな様は見るもので人形遊びするものではありませんでした。

菱餅の意味

菱餅は繁殖力の強い「ヒシ」の実を型どる事で、子孫繁栄を願い、その形はとがっている事から、節分の柊同様魔に除けの意味もあるようです。

三色のお餅の色にもそれぞれ意味があり「赤」は魔除けの効果を願い、血や命を連想させ、桃の花も魔除けの意味を持つそうです。

「白」は葵の実の粉で作った白い餅で子孫繁栄と長寿を願い、純白の雪を連想する事で、大地をイメージしているようです。
花嫁姿の白無垢を連想しますね。ウエディングドレスもいいですが、和装も憧れます。一生に一度のことでしたら、着てみる価値はありますね。

「緑」は蓬(よもぎ)を使うことで増血の健康効果を期待し、生命力のエネルギーを連想させ、新緑をイメージ出来ることからこの三色が春の情景をもかもし出してますね 。

 ひな祭りを器と共に楽しむ

菱餅を飾るお皿は、おめでたい柄の代表で知られる青海波の模様に、春らしい花柄を散りばめた菱形のお皿に飾ります。

色とりどりのひなあられは、花びらの形をした平鉢に盛ることでテーブルの上にお花が咲いたような華やぎになります。

ちらし寿司は見ているだけでも笑顔になる定番の料理です。
椹(さわら)の盛桶を使って色彩豊かに盛り付けます。
蛤のお吸い物は、お雛様らしく赤の毛せんをイメージした朱塗りのお椀でいただきます。

可愛らしい箸置きや小皿を置く事で、テーブルの上が一層華やぎ、ままごと遊びを彷彿とさせます。

ひな祭りは子供だけのお祭りだけではなく、大人も「大人の祭り」の楽しみ方をしましょう。
ひな祭りの時に頂く白酒は、度数が高く甘味が強いので、酒杯は小さめで足付きの物を用意します。
お酒が苦手な方は、甘酒にするのがいいでしょう。
酒杯は同じ物で揃えなくても、お好みの器で飲むのも盛り上がりそうです。
普段、あまり飲まないお酒も、この時は少しだけチャレンジして、頬を赤らめるのも楽しいお祭りになりそうですね。

この記事を書いた人

柴山甲一
酒器の案内人

バーテンダーとして様々な酒や人生と出会い、人生の数だけ酒の楽しみ方があることを知る。「酒の楽しみ方=人生」と捉える目線から、一人じっくり酒を楽しめる器や、誰かとの語らいを楽しむ器など、人に寄り添い人に合わせた“人生を変える酒器選び”をナビゲートする。飲食店などへも、料理人自身が選び切れない器の中から「酒と会話と料理と」を引き立てる器を提供し、その強いこだわりには信頼と定評を得ている。

この記事を書いた人

柴山典子
器人(うつわびと)

静岡の陶器屋の家に生まれ、幼少の頃より家庭用・飲食店用など様々な器に触れながら育つ、器屋生まれ器屋育ちつまり“生粋の器人”。“日本”が誇るもの文化やそれが反映された道具には深い敬意をもち、感動と関心で心の拍手が止まらない。未知に対して興味津々、驚きと笑いを一緒に分かち合えたら嬉しく人との繋がりに日々感謝。「和モノ」のみならずインテリア物は大好物。

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青海波 菱形皿 – せいがいは ひしがたざら

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6,160円(税込)